シネカリアニメーション

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シネカリアニメーションづくりの紹介です。
シネカリとはシネ・カリグラフの略です。
映画フィルムを針等で引っ掻いて画像の膜面を剥がして絵を描く方法です。
映画フィルムはプラスチック系の材料のフィルムベースの上に画像を記録する薬剤がのって映像を記録しています。この画像の部分を針等で引っ掻くことで剥がします。フィルムベースは透明なので白い線が現れます。
通常は黒いフィルムを使用してシネカリアニメを作ります。
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黒みのフィルム

フィルム黒み posted by (C)oshiro
左の写真は映像が写っていない真っ黒なフィルムです。
なにも撮影せずに現像をし(たネガからプリントをとっ)たフィルムはこのように真っ黒に仕上がります。シネカリアニメづくりではこのようなフィルムを使用して絵を描いていきます。
しかしこのフィルムではダイレクトペインティングの時と同様にどこからどこまでが一コマ分のエリアか判りません。

フィルムCC posted by (C)oshiro
そこで左の写真のように一コマ分のエリアが判るように線の入ったフィルムを作成しました。
ダイレクトペインティングのフィルムと異なり、フレームの線を撮影しているので、厳密には画面内にフレーム境界を示す線が入ってしまっています。それでも、目立たないように画面の端ギリギリのところに線がくるように撮影してあります。映画は映写の際に画面の端が少し欠け(切れ)ます。その為このフィルムに写っている線は映写などをしても映ることはないでしょう。
完全な四角になっておらず、角が繋がっていないのは撮影機の露光窓(アパーチュア)の角のR(アール)にピッタリと合わせるのが難しかったためです。
ミッチェルNCというカメラをアニメーション用に改造したもので撮影をしました。このカメラは撮影窓(アパーチュア)に写る映像を直接覗く機構がついているので正確にフレームを決めることが出来ます。この機構を使って画面の端ギリギリの位置に線を撮影しています。
道具
絵を描く道具はフィルムを引っ掻いて薬剤の膜面を剥がすことができれば何を使ってもかまいません。針や画鋲、ナイフなどで描くことができます。
こどもの城では銅版画などに使うニードルという道具を用意しています。

filmCCニードル posted by (C)oshiro
ニードルの針先の形状は四角柱を斜めにカットした「角形」形状のものと、円柱が次第に先細っていく「丸形」形状のものがあります。
「角形」は針先をねかせてフィルムの表面を削っていくような描き方ができます。
「丸形」は細い線で絵を描いていくのに適しているようです。どちらか1本だけそろえるならば「丸形」の方が扱いやすいでしょう。

filmCCニードル2 posted by (C)oshiro
上が「丸形」ニードル、下が「角形」ニードルで削ったものです。角形で削った方は、針先をねかせてできるだけ広い面積が一度に削れるようにしたものです。
「角形」で削った方が黄緑色になっているのがわかるでしょうか?
これはカラーフィルムが三色の色素を重ねて色を表現しているためです。
カラーフィルムの構造については「カラー写真のしくみ」をご覧下さい。

filmCC削り具合 posted by (C)oshiro
黒いフィルムを少しづつ削っていくと、先ず黄緑色の線が現れます。更に削ると黄色になり、最後は透明になります。
これは、フィルムベースの上にイエロー(黄色)の色素、シアン(青或は水色)の色素、マゼンタ(ピンク)の色素の順に薬剤が塗られているためです。
目の細かい紙ヤスリを使って丁寧に膜面を剥がしていくと全面が黄緑色の画面などをつくることができるかもしれません。
黄緑色が現れるまで削ったフィルムの削りカスを白い紙にこすりつけるとピンク色なのが判ります。
このように削り具合で色を表現することができます。広い面に色を出すには紙ヤスリで削ってみるとよいでしょう。

filmCC削り具合4 posted by (C)oshiro
フィルムを傾けると削った後が判ると思います。

フィルムCCsample2 posted by (C)oshiro
絵を描く際には下に白い紙を敷くと描いている絵が見やすいです。
シネカリアニメーションもライトボックスの上で描くと快適に絵を描くことができるのですが、白い紙の上でも十分に絵を確認することができます。

firumCC紙の上で posted by (C)oshiro
注意しなくてはならないのはフィルムの裏表です。ダイレクトペインティングは裏表を間違えても絵が裏向きになるだけです。しかしシネカリアニメでは裏表を間違えると絵が見えません。
裏から削ると、フィルムベースの削った部分が白っぽくなるのでちゃんと描けていると勘違いしてしまうことがあります。しかし、フィルムのベース面を削っても線が見えるようにはなりません。映写してみると画面は真っ黒なままです。
下の図でフィルムの向きをよく確認しながら作業を進めましょう。

フィルムの描き方A3_J posted by (C)oshiro